ペットの健康コラム
犬に魚をあげたらダメ?おやつ・ご飯にあげる際の注意点
- ペットのアレコレ
- 2018/12/26
DHAやEPAが豊富に含まれていて、生活習慣病への効果がある魚類。
肉食のイメージが強いワンちゃんですが、魚を食べても問題はないのでしょうか?
そこで今回は、犬が魚を食べることについての注意点を順に解説していきます。
犬は魚を食べても大丈夫!与え方には要注意
結論から言うと、魚は愛犬が食べても大丈夫な食材です。
肉からは摂取出来ない貴重な栄養素がたくさん含まれており、近頃はドッグフードにも、タンパク源として魚を使っているものがあります。
しかし、適切な与え方や準備が必要な食材になりますので、与える際の注意点や犬が魚を食べるメリットについて、これから解説していきます。
魚を犬に与える際のあげ方・注意点
では、犬に魚を与える時には、どのような点に気をつければよいのでしょうか?
刺身について
人間が食べられるよう、安全な状態で調理された生の魚であれば、犬が食べても問題ありません。
刺身には、調理魚よりも消化にかかる時間が短く、胃腸に負担がかかりにくいというメリットがあります。
ただし生魚には寄生虫のリスクもあります。
寄生虫がいるとされている川魚は、刺身であげないようにしましょう。
焼き魚や干物について
人間用に味付けされたものは、犬にとって塩分が強いです。
高血圧のリスクが高くなりますので、味がついているものは与えないようにしましょう。
特に心臓や腎臓に不安がある愛犬には要注意です。
骨について
犬歯しかない犬にとって、食べ物を細かく噛み砕くことは難しい作業です。
また食べ物を丸飲みしてしまう習性もあります。
魚の骨は硬く鋭いものが多いので、犬の食道や内蔵に刺さりやすくなっています。
骨は必ず取り除くようにしてください。
下痢には要注意!魚を与える際に気をつけたいこと
犬にとって体によい食材である魚ですが、食中毒やアレルギーを発症する可能性もあります。
愛犬に以下のような症状が出た場合は注意が必要です。
ヒスタミン食中毒の主な症状
- ●下痢
- ●嘔吐
- ●顔や舌の腫れ
- ●蕁麻疹
- ●めまい
ヒスタミンという物質を含有している魚を食べることで発症する食中毒です。
魚を常温で放置することで細菌が増え、ヒスタミンが生成されてしまいます。
ヒスタミンは熱にとても強く、一度ヒスタミンが生成されてしまうと加熱をしても防ぐことができないため注意してください。
新鮮な魚を購入し、常温で魚を放置しないことが大切です。
アニサキス症の主な症状
- ●下痢
- ●嘔吐
寄生虫の一種であるアニサキスは、アジやサンマ、鰹、イワシ、鮭など回遊魚の内臓に寄生しています。
アニサキスは魚の鮮度が落ちると魚の身の部分に移動するので、生の状態の魚を食べることで、アニサキスが胃壁や腸壁に入り食中毒を引き起こします。
アニサキスは熱に弱く、煮たり焼いたりすればほぼ死滅します。
お刺身用に加工された魚であっても鮮度が心配な場合は加熱した方が良いでしょう。
アレルギーの主な症状
- ●下痢
- ●嘔吐
- ●痒み
- ●震え
- ●気力低下
魚はアレルギーを起こしにくい食材ですが、魚の種類によってはアレルギーを発症する場合もあります。
初めて与えるときには少量ずつにして、愛犬の様子をしっかり見るようにしてください。
黄色脂肪症の主な症状
- ●発熱
- ●食欲の低下
- ●お尻や足の付け根の脂肪の硬化
- ●全身の痛み
腹部や胸部の皮下脂肪にしこりができて、強い痛みを引き起こす病気です。
この病気は、魚に含まれるDHAやEPAなどの「多価不飽和脂肪酸」と呼ばれる栄養素の過剰摂取により、体内のビタミンEが不足してしまうことが原因で起こります。
対処方法
魚を与えたあとに愛犬に下痢や嘔吐などの症状がみられたり、明らかに体調が悪そうな時は魚を与えるのを中断してください。
そして病院で診察してもらうようにしましょう。
また、魚の骨が刺さってしまった場合も、すぐに動物病院で診てもらってください。
胃腸を傷つけたり、犬に重篤な症状を引き起こす危険性がありますので、病院で正しい対処をしてもらうことが必要です。
魚に含まれる主な栄養素
続いては、魚に含まれている栄養素について具体的に解説していきます。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
青魚に多く含まれているもので、動脈硬化を予防・改善してくれる働きがあります。
脳の血流を活発にし、学習能力や記憶力を高めてくれるので、高齢犬の認知症予防に効果があるといわれています。
EPA(エイコサペンタエン酸)
血液をサラサラにして、血栓を溶かしてくれます。
血栓のつまりが原因となる心筋梗塞や脳梗塞の予防に効果的な栄養素です。
たんぱく質
魚は、肉よりも消化されやすいたんぱく質をたくさん含んでいます。
魚のたんぱく質には体の中のいらない塩分を排泄する働きがあるため、高血圧の予防にも役立ちます。
カルシウム
骨や関節を健康的に保ってくれる栄養素で、特にしらすなどの小魚に多く含まれています。
ストレスを和らげて精神を安定させたりと、神経の情報伝達にも重要な役割を果たしています。
タウリン
肝臓の機能を高める効果がよく知られていますが、疲れの原因となる乳酸の増加を防ぎ、スタミナを増やす働きもあります。
犬が食べてもよい魚の量とレシピの注意点
それでは、愛犬に与える魚の適量と、調理する際のポイントについてご紹介していきます。
犬が食べてもよい魚の量
犬に与えていい1日の魚の摂取量(体重5kgの犬の場合)
・加熱した白身魚や青魚、お刺身…30g ・しらす、じゃこ…10g ・煮干し、かつお節…5g になります。
黄色脂肪症の発生につながる青魚は、毎日与えることは避けましょう。
また、生のものを食べさせるときには小さく切って与えるようにすると、アニサキス症の防止になります。
魚を使って簡単!犬用手作りレシピ
●カルシウム補給ができるお手軽スープ(体重5㎏)
- • ドッグフード 通常の3/4量
- • かつお節 5g
- • きゅうり 1本の1/4程度
- かつお節にお湯を注ぎます
- 1.で作ったかつお節スープをドッグフードにかけます
- すりおろしたきゅうりをトッピングします
スープに溶け出したカルシウムが、体内に補給されやすくなります。
かつお節をスープにして与えることで貧血予防に役立ち、香り成分によって食が細い子の食欲も刺激してくれるメニューです。
かつお節は塩分が少なめのものを選ぶとよいでしょう。
まとめ
良質なタンパク質やミネラルが豊富な魚は、量や与え方を間違えなければ、仔犬から老犬まで幅広いワンちゃんにとって嬉しい味方となります。
これまで「犬は肉食だから」と愛犬に魚をあげることを敬遠していた飼い主さんも、扱いやすい食材を使ってぜひトライしてみてくださいね。