ペットの健康コラム
犬にたまねぎを食べさせたら死ぬはウソ?誤食した時の中毒症状と対処法
- ペットのお悩み相談
- 2019/03/22
「犬はたまねぎを食べてはいけない」ということを大半の飼い主さんは知っていると思います。
ただし犬がたまねぎを食べたからといって、毒薬のようにすぐに吐かせようとする人もいますが、この対応は間違いです。
犬がたまねぎを少しでも食べたからといって、必ず中毒症状を起こすわけではありません。
この記事では犬が中毒症状を起こすたまねぎの量の目安や、犬がたまねぎを食べてはいけない理由について具体的に解説します。
犬がたまねぎを食べると中毒症状を起こす可能性がある
犬はたまねぎを食べてはいけないということはよく知られています。
実はたまねぎだけではなく、ネギ類はすべて犬に与えてはいけません。ネギ類に含まれる中毒物質が原因です。
たまねぎを食べることで場合によっては、愛犬が死に至ることもありますので注意が必要なことは変わりません。
たまねぎに含まれる中毒の原因となる成分とは
たまねぎには「有機チオ硫酸化合物」という、犬にとっての中毒物質が含まれています。
さらに「アリルプロピルジスルフィド」という成分が「有機チオ硫酸化合物」の吸収力を高めることにより、中毒症状が引き起こされるのです。
「有機チオ硫酸化合物」や「アリルプロピルジスルフィド」は長ネギ、ニンニク、ニラなどのネギ科の植物には多く含まれているので、注意しましょう。
たまねぎが少しでも入っていたらダメなの?
たまねぎをそのまま食べるだけではなく、ハンバーグやカレーなどの料理に少量含まれているたまねぎを食べた場合でも中毒症状を起こす可能性があります。
「アリルプロピルジスルフィド」は加熱しても成分は残るため、中毒症状は生の時と同じように発生するのです。
少しでもたまねぎが入っている場合は、愛犬に与えないようにしましょう。
犬が中毒を起こしてしまうたまねぎの量は?
とある人気マンガの悪役の主人公が、敵対する人物の外飼いの愛犬にタマネギ入りのハンバーグを食べさせる描写を見たことがある方もいらっしゃると思いますが、「ウチの子にあのようなことがあったら」と心配になってしまいますよね。
犬が実際にたまねぎを食べて中毒症状を起こす量の目安は以下の通りです。
体重5kg:75g~100g
体重10kg:150g~200g
体重15kg:225g~300g
犬がたまねぎを食べて中毒症状を起こす目安量は、体重1kgあたり15~20gと言われています。
たまねぎ1個は大体200g程度です。
5㎏の犬ならたまねぎ半分、10㎏の犬ならたまねぎ1個分を食べると中毒症状を起こす可能性が高いということになります。
ちなみにたまねぎをなめてしまっただけだったり、一口食べただけという場合は、そこまで心配する必要はありません。
これ以上たまねぎを与えないようにして、様子を見ましょう。
柴犬と秋田犬は少量でも中毒を起こす可能性がある
中毒症状を起こす可能性がある目安量をご紹介しましたが、柴犬と秋田犬は他の犬よりも中毒症状を引き起こしやすいと言われています。
柴犬と秋田犬は体内に「高カリウム赤血球」を持っており、たまねぎの中毒物質に対して敏感なのです。
柴犬と秋田犬の飼い主の方は、たまねぎにはより一層注意してください。
犬がたまねぎを食べてしまった時の対処法
愛犬が目を離してしまったすきにたまねぎやたまねぎの入った食品を食べてしまった場合はどのような対応をとればいいのでしょうか。
詳しく解説します。
まずは状況確認
愛犬がたまねぎを食べたことがわかったとき、まずは何をいつどれぐらい食べたのかを確認しましょう。
生のたまねぎを食べたのか、また、たまねぎをつかったどんな食品を食べたのかを把握するようにしてください。
このとき、口の中にまだ玉ねぎが残っている場合は優しくかきだしてあげましょう。
症状が出ていない場合は様子を見る
たまねぎを少量食べただけという状態で症状が出ていない場合は、様子を見てください。
インターネットサイトの中には飼い主自ら吐き出させる方法が紹介されている場合もありますが、愛犬の命にかかわる危険な行為です。
飼い主自身の判断で吐き出させるのはやめましょう。
吐き出させるくらいなら、すみやかに病院へ連れて行くようにしてください。
ひどい場合はすみやかに病院へ
症状が出ている場合や中毒になる目安量に近い量のたまねぎを食べていた場合は、すみやかに病院へ連れていきましょう。
大量の誤食が発覚した場合はすぐにかかりつけの獣医さんに電話で相談してみてください。
そのときにいつ何をどれほど食べたのかを伝えましょう。
たまねぎ中毒になった時の症状
愛犬がたまねぎを食べたあと、以下のような症状を起こしているときは中毒症状を発症していると考えられるので、すみやかに病院へ連れていきましょう。
・ふらふらしている
・いつもと比べて元気がない
・呼吸や脈がはやい
・けいれんや震え
・嘔吐
・下痢
・血尿
・歯茎が白くなる
・貧血を起こしている など
中毒症状の起こりはじめは、いつもより元気がなくなっていると感じることが多いようです。
たまねぎを食べたあと、いつもと違う様子が見られたら、すみやかに病院へ連れていきましょう。
たまねぎの中毒物質が犬の体内に入ると、赤血球のヘモグロビンを酸化させ、溶血性貧血を引き起こします。
溶血性貧血がひどい場合は死に至るおそれもあるので、すみやかな治療が必要です。
犬がたまねぎを誤食しないための対策
犬がたまねぎを誤食しないようにするためには、飼い主がしっかりと対策することが必要です。
愛犬にたまねぎを誤食させないための対策をご紹介します。
愛犬が届く場所にたまねぎをを放置しない
愛犬がかんたんに食べられるような場所に、たまねぎはもちろん、たまねぎを使った食品を放置しないようにしましょう。
残ったハンバーグやぎょうざなどをそのまま放置すると、お肉のにおいに引き寄せられた愛犬が誤食してしまいます。
人間の食べ物を与えない
普段から自分の食べ物をついつい与えてしまう人は、たまねぎが入っている食べ物も思わず与えてしまう可能性があります。
染み出たたまねぎエキスが原因で中毒症状を起こした例もあるので、注意しましょう。
たまねぎは少量でも愛犬には与えない
「少量では愛犬に与えても問題ない」という主張をする人もいますが、そのような意識で過ごしていると、重大な誤食事故を招くおそれがあります。
愛犬の健康を本気で考えるのであれば、愛犬にとって命のリスクがあるような食べ物を食べさせないようにしましょう。