ペットの健康コラム
海苔は犬にとって要注意!のりの消化リスクと栄養素
- ペットのアレコレ
- 2018/12/27
海苔は『海の野菜』と呼ばれるほど、栄養が豊富です。
特に私たち、日本人には腸内環境からみても、適した食材です。
磯の香りも強く、興味深々なワンちゃんも多いのではないでしょうか。
その海苔を愛犬に与えてあげたいけど、人間の食べ物だし・・・実際大丈夫なのか心配な飼い主さんのために、今回は海苔についてお答えします。
ワンちゃんは海苔を食べてもいいけど、味付け海苔には要注意!
愛犬に海苔を与える際、余程大量でなければ、今すぐに何か起こるわけではないので、慌てる必要はありません。
しかし、愛犬に海苔を与えたいと考えている場合は、いくつか気を付けなくてはいけない点がありますので、順に解説していきます。
消化には要注意!海苔を食べちゃった際に気を付けたい症状
消化不良
まず、気を付けつけたいのが消化不良です。
海苔は食物繊維を豊富に含んでいますので、ワンちゃんにとって消化しにくい食材です。
便秘気味のワンちゃんであれば、便通を良くする効果が期待できますが、本来、犬には草食動物のような、消化吸収をする仕組みがありません。
そのため、多量の食物繊維は消化されず下痢を引き起こしてしまう可能性があります。
尿路結石
海苔にはミネラルが豊富に含まれているため、「マグネシウム」や「カルシウム」を多く摂取してしまうことにより、結石ができやすくなる可能性があります。
一度食べただけで、尿路結石になるわけではありませんが、蓄積すると尿路結石になる可能性があります。
尿管の長いオスのワンちゃんや、ミニチュア・シュナウザーやウェルシュ・コーギーなど体質的に結石ができやすい犬種のワンちゃんは、特に注意が必要です。
●尿路結石の主な症状
・頻尿になる
何回もおしっこをしに行ったり、出る量が少量である、または出ていない。
こうした症状の場合は、結石で尿管がふさがれている可能性があります。
・おしっこが濁る、血尿が出る
できた結石によって、膀胱粘膜などが傷ついて血尿になっていることがあります。
また、傷から細菌感染を起こして、おしっこが濁ってしまうといった症状が出ます。
・排尿時に痛がる
排尿時に、鳴き声を発していたり、陰部を気にする行動が見えます。
・尿意のコントロールができない
尿意があるのに出ない場合や、逆にトイレではないところで急に排尿が漏れてしまう。
・食欲がなくなる
・元気がなくなる
塩分過剰
味付け海苔や海苔の佃煮には塩分も多く含まれています。
塩分を過剰に摂取すると、ワンちゃんの心臓や腎臓には多くの負担が強いられます。
また、一度患ってしまうと完治は難しく、最悪死に至る怖い病気です。
腎臓病も同じで、一度腎臓を壊してしまうと、完治が難しい病気です。
そして、どちらも初期には症状がわかりにくく、早期発見がむずかしいです。
初期の時点で腎臓は1/3ほど機能を失ってしまいます。
のどに詰まる
海苔は口の中で張り付いてしまいますので、ワンちゃんは窒息してしまう恐れがあります。
ワンちゃんは自分で、張り付いた海苔を取り除くことはできませんので、与える際は、工夫しなければなりません。
特に小型犬は、のどや気管が狭いので、注意が必要です。
対処方法
消化不良の場合
一度に食べる量を調節してあげましょう。
個体差が大きいので、量を減らしてあげて、便の様子を見ながら調節しましょう。
尿路結石の場合
尿路結石の疑いがある場合は、動物病院で尿検査やエコーなどで診察を受けましょう。
そのため、ペットシーツなど尿を持っていけるとスムーズです。
検査で結石の種類がわかりますので、それに応じた療法食を与えてあげます。
また水分をこまめに良くとることが、尿の濃度が濃くなるのを防いでくれ、大結石を溶かす手助けをしてくれます。
病院では、早期に発見もできますので、少しでも愛犬に異変がある場合は、早めに獣医師に診てもらいましょう。
海苔がのどに詰まる場合
喉に張り付く場合は、小さくちぎって細かくして与えましょう。
少量なら大丈夫!ワンちゃんが食べても良い海苔の量
体重5kgに対して0.3g~0.5g程度です。
通常、焼き海苔 一枚(21×19) 3g程度ですので、基本的に細かくした海苔一つまみ程度が0.5gです。
愛犬が海苔を好きでも、与えない方がいい理由
海苔は、少量与える分には問題のない食べ物ですが、愛犬に積極的に与える必要がない食べ物です。
特にコンビニで売られているおにぎりは、与えるべきではありません。
そこを詳しく説明していきます。
コンビニのおにぎりをあげないほうが良い理由
コンビニに使われている海苔には、味付け海苔が多く使われています。
塩分が多く含まれているため、塩分の摂取量が過剰になってしまいます。
また、人間用に味付けされていますので、添加物や防腐剤、ツヤ出しのための油分も含まれているため、ワンちゃんにとって、良いものではありません。
ワンちゃんは、甘味も混ざっているコンビニのおにぎりを、喜んで食べると思いますが、与えるべきではありません。
欲しがっても決して、与えるべきではない食べ物の一つです。
海苔に含まれる栄養素
たんぱく質
海苔の40%はたんぱく質でできています。
一枚で牛乳1/5本分、卵1/5個分と同じたんぱく質です。
意外なことに、大豆よりも多い保有量です。
必須アミノ酸も多く含んでおり、良質なたんぱく質です。
食物繊維
海苔の重量の1/3は食物繊維でできています。
100gあたり、36gもふくまれています。
ビタミン
ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなど、様々なビタミンが豊富に含まれています。
ヨウ素
甲状腺ホルモンをつくる原料となります。
成長と発達を促進する、役割があります。
カリウム、ナトリウム
ともに体内の水分の調整を行います。
ナトリウムは、栄養の吸収、輸送を行い。カリウムには、体内で増えすぎたナトリウムを排泄する役割があります。
その他たくさんの栄養素があり、人間にとっては栄養の宝庫ですが、ワンちゃんには豊富に含まれた食物繊維は、消化不良の原因になりますので、与える量を調節する必要があります。
便の様子を見ながら、摂取してもいいといわれる量を参考にしながら、与えてあげましょう。
そして、上記にも挙げた尿路結石の原因となる、マグネシウムも含まれているためストラバイト結石に注意が必要です。
与え方、頻度をよく考えて与える工夫をしましょう。
まとめ
豊富な栄養素を含む海苔ですが、メリットとデメリットをよく理解して、与えることが重要です。
愛犬が好きだから、喜ぶからだけで与えてしまっては、取り返しの付かないことになってからでは遅いのです。
腎臓や心臓の病気にしても、悪くなったところを元に戻すことはできません。
年齢を重ねるにあたって、でてくる病気もあります。
そんな時に腎臓や心臓の持病で、行えなくなる治療が出てきてしまっては、大切な愛犬を助けることができなくなってしまいます。
私たち、飼い主は愛犬の先の将来も、念頭に置いて毎日のご飯や生活を考えてあげないといけません。
それが愛犬にとっても、飼い主にとっても、明るい将来へつながる術ではないでしょうか。